雑感として①

さて今週の土曜日にはいよいよ春季中部地区大会初戦・常葉橘を迎えます。
選手の皆さんには日頃培ったものを存分に出し切って頑張って頂きたいと思います。


今日は島商野球部について、日頃感じている事を想うがままに書き記してみたいと思います。

島商野球部はこのところ春季中部地区大会の初戦を3連敗中と、成績が急落しています。
もちろん勝敗がある以上、勝つ時もあれば負ける時もあるのは致し方ないのですが、中部地区でもそれなりの実力を得ていた島商野球部がなぜこのような成績に落ちたのかは何か理由があると思います。
その理由の一つとして『一枚岩になれていない。』事を今回指摘したいと思います。

その前に私が実体験したエピソードをご紹介します。

まずお話は平成15年秋に遡ります。
この年の秋の新人戦において、島田商は3回戦で東海大翔洋と対戦して2−11(7回)と大敗してしまいます。
もちろんその後は苦難の連続でしたが、見事に秋の県大会の出場を掴みとりましたが・・・。
この年の島田商は秋の時点で多くの1年生が公式戦の試合に出ていて、最終的には翌年の夏の大会では5〜6人の2年生がレギュラーとして出場しました。
なので平成16年の夏に甲子園に出場する事になる東海大翔洋には歯が立ちませんでした。
この試合を観戦していた私は、何となく島田商ではなく東海大翔洋のチームに惹かれたのを覚えています。
それは試合中とめどなく発せられるスタンドの父母会の方の言動です。
攻守交代の時には必ず『ダッシュだ!ダッシュだ!』の声が響き、それに呼応した選手たちが常に全力疾走で攻守交代をしていました。
これには島商野球部にない、全ての関係者を含めた一体感をこの東海大翔洋と言うチームから感じ取ったのです。
その後、県大会に出場した島商は2回戦で東部の実力校・飛龍と対戦し0−8で敗戦し選抜に向けた戦いが終わりました。
無理もない、まだ4月に入学して来たばかりの選手が多かったチームでしたから、県大会の初戦を突破しただけでも来季に期待が持てると言うものです。
そして中部大会で気になった東海大翔洋を観察しようと翔洋を追掛けました。
やはり一体感は素晴らしいもので、なぜこれが出来るのだろう?と感心したほどです。
そして並居る強豪を倒して決勝まで勝ち進み、あの常葉菊川を倒して頂点に立ちます。
この時の翔洋は本当にすごい相手との連続でした。
宮西・静高・日大三島加藤学園常葉菊川と強豪を連破したのです。

翌年の春の大会でも翔洋は中部を制し県大会に出場しますが、ここで昨秋決勝で勝った常葉菊川に0−8(7回)と大敗を喫してしまいます。
左腕・川口投手の球に勢いがなく、常葉菊川の強力打線に捕まってしまい、打線も悪い流れに引き込まれたのか快音が響きませんでした。

話が長くなりますので少し割愛します。

春の大会が終わりいよいよ夏の大会が開幕しました。
我が島田商は当時2年生左腕の山村投手を擁しベスト8に進出。
このベスト8では常葉菊川と対戦して3−10で敗戦、この夏の甲子園の夢が断たれました。
そして勝った常葉菊川の次の相手が東海大翔洋でした。
翔洋は春の県大会で常葉菊川になす術なく敗れています。
通算成績でも1勝1敗、どちらもこの試合が決着となります。
春以降、秋のような強さに影が差していた翔洋に対し、春以降強力打線と高橋投手を擁し成長著しい常葉菊川の下馬評はやや菊川有利でした。
しかし翔洋はこの試合で今までの鬱憤を晴らすかのような気迫を見せました。
川口投手が力投し、味方打線も援護し菊川高橋投手を攻略、7−3で翔洋が勝ち、この後の決勝も制して甲子園に出場します。

実はこの翔洋を秋に観戦して以降、島商の試合が無い時は翔洋スタンドにお邪魔して観戦させて頂きました。
その時翔洋の父母会の皆さんには、私が島商HPの管理人であると知りながらも非常に良くして頂いたのです。
そんな縁もあって、私は甲子園に乗り込み翔洋スタンドに父母会を訪ねてお祝いのあいさつをさせて頂きました。
翔洋父母会の中でいつも気にかけて下さって良くして頂いたのはこの時の三年生で三番手投手の木本投手のお母さんでした。
その木本君のお母さんとしばし談笑します。
私が『木本君があのマウンドに立ってプレー出来るといいですねぇ〜』と言ったら、私の息子が出る時は負け試合ですから出たらダメですよとお母さんが言いました。
続けて、『でもね、私の息子も含めてベンチに入れなかったこの子達の誰一人が欠けてもこの甲子園出場はありませんでした。』と笑顔で語ってくれました。
この時、私は『やはり甲子園に出るチームにはそれなりの理由があるんだ・・・。』と痛感したのです。
とても感動しました。
自分の息子が試合に出られなくても、それを逆恨みするのではなく常にベンチに入れなかった選手にまで思いを寄せる、それが親として出来る唯一の事なんだと、この木本君のお母さんは教えてくれました。
私が前年の秋にこの東海大翔洋と言うチームに惹かれた理由がこの時分かったのです。


以上が私の実体験です。

何を言いたいかと言えば、監督も選手も親もOBも目指すものは同じなのです。
しかし今の島商はそれぞれが勝手に自分の欲求のみに動き、好き勝手に批判意見を言う。
これがチームを弱くしている原因の一つであるのです。

監督とOB会の意思疎通は出来ているのでしょうか?
監督の目指す野球をOB会がサポートする体制は出来ているのでしょうか?
逆に監督はOB会に対しご自身の意見と要望を伝えているのでしょうか?
チームとは社会で例えればいち企業と同じです。
会社を形成する上で、方向性をまず示し、適材適所に人選を配置し、補うべき所はしっかりと補い一つになって業績向上を目指す。
そしてその為には会社内での意思疎通は当然あって然るべき事です。
チームも同じです。
チームを形成する上で主導となる監督とOB会が協力体制になければ、まずチームを形成する事すら出来ません。

親も同じです。
安易に監督批判・選手批判に走っていませんか?
自分の息子がなかなか出られない、または下級生が出場する事に嫌悪感を抱いていませんか?
こんな状態がもしまかり通っているのなら、島商野球部は永遠に結果を残す事は出来ないでしょう。
要するにチームが一枚岩になっていないのです。
小石がそれぞれ好き勝手な言動を起こしているに過ぎず、つまりチームがバラバラなのです。

私はこのブログの他に『カミカゼは愛国保守を応援します。』のブログで、日本の歴史・政治・経済の観点から日本人の失われた資質を書き記しています。
ここではあまり詳しくは述べませんが、要するに戦後教育の中で、公を大事にせず個を大事にする風潮がまかり通って来た事に警鐘をならしています。

島商野球部もまさにこの戦後教育そのものの問題がチームを蝕んでいると思います。
チームの事を最優先に考え、チームとして今必要となるものは何なのか、自分の存在意義は何のかをもう一度問い直してみる必要があります。
チームを優先すると言う事は個を犠牲にする事でもあるのです。
その精神が無い限り、チームと言うものは成り立たないのです。
島商が復活には、チームを形成出来る資質を持つ事が一番必要であると確信します。

明日は選手の皆さんへの雑感を述べてみたいと思います。